顧客の立場から建築鉄骨の品質を検証
   
AWA認証機構とは

AWA認証機構は、建築鉄骨および建築構造に関連した、幅広い分野からの技術者を認証、登録し、民間の「シンクタンク」として機能しています。

その行動原理は、歴史の監視にすら耐えられる正当性を求めている集団で、その中立性、透明性を高める為の努力を日夜研鑽しています。

『あの時は、時代の流れだから、仕方がなかった』という言い訳を許さない。従って、私情から発せられる意見と視点をはっきりさせた事実(実状)を踏まえ、評価、検証を行う集団であります。

ある時は、「手さぐり」に近い論述、またある時は、『きっぱり』と断ずる時もありますが、いずれもその主張に対しては責任を負います。

情報開示を原則としていますが、それは『時代を超え、全世界のどこの誰でもが検証できるシステム構築』することであります。

   
建築鉄骨と鉄骨検査 Q & A
ビルやマンション・住宅など建築物は年間どのくらい建てられていて、そのうち鉄骨建築物の比率はどのぐらいですか?
   

国土交通省の建築統計資料によると、毎年建てられる建築物は100万棟以上で、その床面積は延べ2億平方メートルになり、建築工事費は30兆円にのぼります。そのうち新築の住宅戸数は、戸建て住宅・共同住宅など120万戸にもなります。都内の超高層マンションに人気がありますが、住宅需要は減少ぎみになっています。

鉄骨建築物の実態を平成13年度で調べてみますと、全建築物は約58万棟、延べ床面積約1億4,400万平方メートル。うち鉄骨造は棟数で約14万棟(約24%)、延べ床面積で約5,760万平方メートル(約40%)を占めます。鉄骨生産量は約700万トンになります。バブル期の平成2年度では1,200万トンを超えましたので、ピークの70%ですが、それでも自動車、造船とも鋼材使用量は500万トン以下ですから建築鉄骨需要の大きいことが分かると思います。

   
国交省の統計では建築物をどんな分類になっていますか?
   

住宅以外の建築統計資料は、さまざまな建築物の着工状況を用途・構造・地域別などキメ細かく発表しています。例えば、建築物の躯体構造では、(1)木造(W造)、(2)鉄筋コンクリート造(RC造)、(3)鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、(4)鉄骨造(S造)、(5)コンクリートブロック造、(6)その他、に分類されております。

   
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)と鉄骨造(S造)との違いについて教えてください。
   

SRC造とは鉄骨に鉄筋を巻きコンクリートで固めた日本独特の躯体構造。S造は鉄骨だけで組み立てる躯体構造で、純鉄骨造とも言われています。建築鉄骨は建築物の躯体骨組みである柱・梁で組み立てる鋼製フレーム部材のことです。SRC造とS造の対比は1:9の割合です。S造は、一般住宅(プレハブも含む)から工場・倉庫・ショッピングセンターから超高層ビルまでが対象になりますので、その需要は広いものがあります。その一方、鉄骨だけの躯体構造は遮音や震動などが伝わりやすいためマンションなど共同住宅には不向きなためSRC造かRC造になります。

   
SRC造とS造との鉄骨の違いについて教えてください。
   

鉄骨の違いは、SRC造の場合、柱の断面は鋼板を十字・T字形に溶接加工し、鉄筋を巻きやすくする孔加工をします。S造の柱は断面を□字形に成形されたコラム材、鋼板4枚で□字形に溶接加工をしたビルドボックス、円形の大径鋼管材など閉鎖型断面材を使います。梁はSRC・S造ともH形鋼材、鋼板をH形に溶接加工したビルドHを使います。鉄骨建築物の構法は「ラーメン架構法」と言い、柱と梁を剛接合した建築構造になっています。

   
鉄骨に使われる鋼材はどんな種類のものですか?
   

使用する鋼材は鉄骨の部位、建物の用途・構造によってことなりますが、JIS鋼種のSS、SM、SN材などを使いますが、おもに建築構造用鋼材(SN材)を使われている。また、鋼種・形状などは建築する用途・構造・規模によって使い分けされるが、「建築基準法」の施行令や日本建築学会の「鉄骨工事技術指針」「鉄骨工事=JASS6」などによって定められていますので、鋼材なら何でもいいということではありません。

   
建築基準法は一般に良く聞く法律ですが、この法律さえ守れば良いと言うことですか?
   

建築基準法とは、さまざまな建築物を設計・施工するために設けた法律で、「国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資する」ことを目的としたものですが、その基準は最低の基準であり、「これ以上の基準・品質値の設計・施工しなさい」というものであって、建築基準法はけして高い基準値でないことを知っておいてほしい。

建築施工業者は「建築基準法を守っています」と、言い逃れすることがありますが、手抜き工事・欠陥建築の場合、基準法以下どころか判定不能な工事があることを知っておいて欲しいものです。

   
建築鉄骨を製作する業者とは、どんな規模の工場ですか?
   

鉄骨製作業者をファブリケーター(ファブ)とも呼んでいます。全国では大小合わせて1万以上の工場があると言われていますが、国土交通大臣が認定する鉄骨製作工場は、上場企業の大規模工場から数人の従業員の町工場まであり、その数約3,000工場にも及びます。大手の工場は超高層ビルなど著名な建築物の鉄骨を製作し、町工場は住宅や店舗など小規模な鉄骨建築物を手掛けるなど、棲み分けがされています。製作される鉄骨は大小関係なく建築基準法、鉄骨工事指針など共通の製作要領に沿って製作・加工されていなければならないのです。

その一方、認定工場は製作できる建築物によって分類されており、超高層ビルなど大規模建築物はSおよびHグレード、中規模建築物はMおよびRグレード、小規模建築物はJクレードに分類され、建設する建築物の規模・難易度によってグレード指定が決まります。このグレード指定を間違えると法律的にも、品質的にも後々問題が起きることになるだけでなく、手抜き・欠陥鉄骨につながることになるので、ファブの工場を決定する時の設計事務所・ゼネコン担当者の責任は重大になります。

   
鉄骨検査が必要と聞いていますが、どのような検査を行うのでしょうか?
   

鉄骨建築は基本的には、超高層建築物も低層住宅の鉄骨も同じ建築基準法で製作されていると言ってもいいでしょう。しかし、建築物の規模によって、鉄骨製作に使用する鋼種や形状・サイズや鋼材加工(切断・孔あけ・溶接)も基準法をはるかに超える基準値・品質水準でなくてはならない場合と、基準内なら充分な場合もあるでしょう。この判定は、構造設計者の領域であると同時に建築主の要求品質でもあります。当然ながら使用する鋼材や製作難易度によってコスト・アップになります。

また、鉄骨製品が設計通りの要求品質に作られているかを非破壊検査(超音波探傷検査=UT)および目視・測定ゲージの外観検査(VT)でおこない、その検査記録を保存しておくことが建築学会の検査規準に定められています。
鉄骨は工場で製作され、建設現場で組み立てられる部材製品のため品質管理・製品検査が容易なこともあって、生コンを現場打設のRC造に比べ、多くの技術・技能資格者を求められた上に、厳しい製作基準、検査規準が要求されています。

   
検査についてもう少し詳しく説明してください。
   

鉄骨検査は、おもに鉄骨の柱と梁、柱と柱を接合した溶接部を、検査技術資格者による超音波探傷検査で内質欠陥を検出する検査、溶接時のパス間温度や入熱管理を測定する検査、さらに熟練技術者が目視で判断する外観検査などで行っています。その検査規準は建築学会規準(JASS6)などの検査規準で判定しています。

検査業務は、まず製造責任者であるファブの検査技術者が自主的に実施する「自主検査」と、鉄骨を発注したゼネコンが工場出荷時の実施する「受入検査」を第三者機関の非破壊検査業者に委託するものに大別されます。

ファブは、自社の品質管理のためのもので、VT・UT検査100%実施し、外観・内部欠陥があれば事前に手直しするなど品質保証をおこなっておくことになっています。一方、ゼネコンは元請責任として抜取り率(10〜30%)を決めた受入検査を実施し、自主検査との照合後、受入検査検査記録を建築主および設計事務所に提出・保存の手続きをとります。この二重検査が手抜き・欠陥鉄骨を未然に防止することになります。

   
鉄骨検査をキッチリ行うことが分かれば手抜き製作がなくなる仕組みですね。
   

ファブにだけ厳しくしても良い品質が得られるとはかぎりません。健全な鉄骨建築物は、建築物に相応した適正な鉄骨構造設計図と、建築物の規模・内容に準じたファブの認定工場(S、H、M、R、Jグレード)選定が大事なポイントになります。
それからファブの役割は、設計仕様に沿った鋼種・鋼材の入手とその証明書(ミルシート)の保管。精度の高い切断・孔あけ作業、品質の高い継手接合部の溶接作業などをシステム化した社内製作要領書を基づく品質管理が行われているかが重要なポイントなります。そして自主検査・受入検査を経て、製品出荷になります。建設現場で鉄骨建て方作業に移ってから不具合や製作ミスが発生すれば手直しになるため気が抜けません。現場では柱と柱を接続する溶接作業もあり、その場合の検査手順は工場製作と全く同じであります。

   
ある一定規模の建築物には建築主事による中間検査があるようですが。
   

阪神大震災後の建築基準法改正で、建築物の構造・規模によって、特定行政庁の建築主事および中間検査機関による中間検査を受けるようになりました。この場合は建築確認書に基づく構造設計および鋼材確認や、接合部の目違い・不具合・溶接などVT検査となっていてUT検査はありません。しかし、この検査で不合格になると全ての工事を停止され、工事再開にはかなりの日数がかかるなど大幅な工期延長につながるので、まず自主検査を完璧に行っておくことが肝心なのです。

手抜き工事、欠陥建築物の多く要因は、受発注単価が安いなどの問題よりも、むしろ鉄骨知識の欠如、製作意識の低下、品質管理の怠り、製品検査のマンネリ化によるものと指摘されています。鉄骨は一品製品のため、一にも二にもゼネコン担当者をはじめファブ経営者・技術者・技能者の健全なモラルに負うところが大きいのであります。

   
テレビ報道で、住宅の天井裏や床下に入って欠陥部を指摘していますが、鉄骨建築の場合はどのようになりますか?
   

欠陥建築物がテレビなどマスコミを賑わしていますね。木造住宅・鉄骨住宅の手抜き工事・欠陥建築の大半は建売住宅。建築物は竣工してからの手抜き・欠陥が発見しにくいので、まず建築工事の工程毎に、建築主の立場による監理・検査でできる専門技術者が必要であります。その方が、費用対効果だけでなく、品質の高い建物が建つことだけは確かです。建売住宅の場合は建売業者や仲介業者の話だけでなく、地域事情に明るい地元の人に確認するなどの努力は必要です。できれば、建築士など専門家に調査してから購入することをお勧めします。

一般に、「鉄骨だから丈夫な建物」と思っていますが、手抜き・欠陥工事、施工ミスがあれば木造建築物よりも恐ろしい結果を招くことがあります。また、既存建築物の場合、地震力に耐えられる構造になっているか、柱と梁の継手溶接部の性能・品質はどうなっているかを判定するには適正な検査記録が無くてはできません。新築時に検査記録をつくり・保管されていれば、欠陥問題は起き難いし、万一起きた場合でも施工業者に損害賠償請求しやすくなることだけは確かです。

   
最後に、AWA認証機構が第三者検査機関として検査技術者を派遣していただきたいのですが。
   

IDカードを持った総合検証技術者・検証員(AWA検査技術者)を派遣します。お気軽にお申し込みください。
AWA認証機構は、非破壊検査・鉄骨製作・建築施工・建築設計・建築コンサルタントなどの企業に在職する技術社員・技術事業者・技術者個人の約200名を擁しています。
その技術資格は、技術士(建設・鋼構造・金属部門)、一級建築士、建築構造士、非破壊検査技術者、溶接技術者など資格を取得した上、建築鉄骨外観検査講習を修了し、AWA検査技術者資格試験の厳しいハードル(合格率は10%前後)を突破した「AWA認証・検査技術者」の会員によって事業・運営されている建築シンクタンク組織です。
この優れた技術者が、建築主およびビルオーナーに代わって鉄骨建築物建設工事の構造監理・鋼材確認・ファブ審査・鉄骨品質など一連の検査・確認業務や、既存建築物の耐震診断・耐震改修の調査業務を受託する一方、建築関連会社のISO認証、大臣認定工場取得の技術支援・技術指導のために技術者を派遣します。
AWA認証機構は、あなたに代わって健全な建築物にするため監視・検査・診断・確認することで、建物から生命・健康と財産を守ることができると確信しています。